緊急の情報提供呼びかけ 東海大で非常勤講師の大量雇止めの兆候

【大量雇止めは誰のためにもならない】

東海大学の各地区のキャンパスに勤務する組合内外の方々から、『2023年度の契約更新はしない』という通告があったとの相談が殺到しています。東海大からの合理的な説明や、合意形成に向けて誠実な努力をした形跡も見当たりません。私たちは不利益変更であるこのような雇止めに強く抗議するものです。

各大学に多数在職する非常勤講師を大量に雇止めすると、当然ながら専任の人たちの担当授業が激増し、授業の質も落ち、研究もできなくなります。そしてその最大の被害者は学生の諸君なのです。それは大学の価値が低下することと同義であり、単に非常勤講師だけの問題ではないのです。経営の効率化だけで片付けてよい問題ではありません。

【団交での約束違反】

私たちは2019年7月31日に湘南キャンパスで東海大学と団体交渉を実施しました。5年での無期転換を拒否して、無理筋の任期法(10年)を適用していることを断念するよう求める団交でしたが、任期法においても2023年3月に無期転換権が生じる講師が多数発生するため、無期転換権発生の1日前に強引に雇止めを強行することがないよう釘を差す必要があったからです。

私たちは大学の内部情報をもとに、その点を質しました。すると大学側は弁護士多数を配置するなか、最高幹部が明確に

(1)非常勤講師大量雇止めのような計画はない。

(2)学部長会議では、まだ何ら諮られていないし私も聞いたことがない。もちろん専任の労働強化もない。

と明言したのです。今回確認した契約書に書かれている内容は、その約束に明確に反するものです。

(※団体交渉での労働組合との約束を破ることは労働組合法7条が禁じる不当労働行為になりえます)

【今後について】

労働組合は法的な保護があるので、いろいろな手段を選択することができます。労組が機能すれば経営の暴走も制御されうることは歴史が証明しています。逆に言えば、東海大は学内に活発な労働組合がないので、不合理な労務管理にブレーキがかからなかったものともいえます。

しかし、まだギリギリ間に合うと私たちは考えています。こうした雇止めを阻止するには大学の構造上、時期が遅くなるほど労働者側に不利になるので、いま組合に結集して皆で反対の意思表示をすることを呼びかけます。中間管理職に物申しても、その人たちには何の力もないので気の毒なだけです。

以前、早稲田大学で大量雇止め危機が訪れたとき、3000人の非常勤講師のうち150人が首都圏大学非常勤講師組合に加入した時点で雇止めは撤回され、無期転換への道も開けました。早稲田は賃上げまで同意してくれました。東海大でのかかる計画を阻止するには、大学内に組合を作り、そこに大勢が結集する以外に方法はないでしょう。広く皆さんの結集を呼びかけます。この問題は非常勤講師だけの問題ではないので、専任教員や職員の方々の加入も歓迎します。もちろん、情報提供や質問も歓迎しますのでお問い合わせURLまで送信して下さい。

具体的な戦略はネット上では掲載できませんが、まず私たちは団体交渉での言質があるので労働組合法を根拠に、組合員については雇止めしないよう求めることは確実に実行することになります。

(※いずれの労組も同じですが、労組はその法的な位置づけから、組合員の労働条件しか交渉できないのです)

一点だけ、いまお伝えしておきたいことがあります。契約書を出さない戦略だけはとらないで下さい。契約不存在になって、全ての足場を失います。異議は組合から出せば済むことで、それこそが組合の重要な機能(集団的争議権)なのです。

首都圏大学非常勤講師組合 書記長

(上部団体の横浜地区労働組合協議会 議長兼任)

佐々木信吾