命の平等を守るために

(1)契約の違いは命の軽重なのか?

医師の診断書を提出して遠隔授業を希望した教員が解雇された事案で、私達は今年の3月25日に共立女子大学と団体交渉を実施しました。そのとき大学側の出席者は「病気になったら専任(正規)は休職制度を使えるが、非常勤(非正規)にはそんな権利は与えない」との趣旨の発言をしました。非正規の使い捨てをあからさまに正当化する態度に私達は衝撃を受けました。

(2)非正規の健康も大事です。

そもそも使い捨ててよい人間などいません。コロナ禍は、立場の弱い非正規労働者もリスクのある仕事をしないわけにはいかないことを明るみに出しました。

そうした人達は、自分に疾患があったとき、家族に高齢者・重病患者がいるときなど、本当に休まなければいけないタイミングでのリモートワークも休みも認められていない場合が多いのです。しかも、経営の都合で簡単に切られてしまう。もっと非正規の健康も大切にされるべきです。

(3)平等を求める規範を発見!

教育機関の非常勤講師についていえば、第一に申請すればオンライン授業を選択できるようにすべきです。また本当に疾患にかかったら、しっかり休めるようにすべきです。有給や休業、制度はいろいろ考えられます。

(早稲田大は団交で、申請すれば遠隔を検討し、病休も認めました。補講をすればそのぶんの減給もしないと約束しました。リンク:超速報!対面授業問題で早稲田大学との団体交渉の報告

しかし、最低限必要な自衛策が認められていない職種は国内に無数にあります。働く誰もが「必要なときに」「平等に」休業できるような規範はあるのでしょうか?

すでに非正規の休職制度を実現した開智学園教職員組合(新)は、以下の厚労省の告示を私達に教えて下さいました。パート・有期法の施行を控え、2018年12月28日に厚労大臣名で出された【厚労省告示430号】には明確にこのように書かれています。

『短時間労働者(有期雇用労働者である場合を除く。)には、通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない。また、有期雇用労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならない。』 

リンク:厚労省告示430号

この指針を使わずに労使の力関係だけで争うべきではないでしょう。