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大学にPCR検査の拡充を

大学の関係者と市民の皆さんに訴えます
PCR検査を全大学人と周辺市民に実施し、安心して大学を再開させましょう!

現在、新型感染症コロナは第2波を迎え、社会全体がこの困難を乗り越えるための方策を模索しています。4月の緊急事態宣言に先駆け、3月から小・中・高校が一斉閉鎖され、大学も閉鎖されました。その後、感染拡大の実態を踏まえ、小児科医学会が「学校閉鎖は流行阻止効果に乏しい」と声明するに至り、小・中・高校は、6月以降、感染予防措置を取りながら再開しています。
そうしたなか、教育機関の中で大学だけが閉鎖、または準閉鎖の状態で機能停止を続けています。
大学の現状は、

状は、ほとんどが構内への立ち入りを制限し、授業の多くはオンライン(リモート)で行われ、図書館の利用も制限されています。

――最大の被害者は学生です――
オンライン授業は、学生にさまざまな困難を生んでいます。自宅でひとり、午前中から午後までずっとパソコンの前に座り授業に集中し続けることには無理があります。教員とのやり取りは対面授業のようにはいきません。パソコンを駆使するスキルに個人差が大きいという状況もあります。また、パソコンを貸与している
大学もあるとはいえ、学生全員が持っているわけではありません。携帯・スマホでオンラインに参加する学生もいるのです。あの小さな画面の中で、どうやって密度の濃い授業を享受することができるのでしょう。そして多くの学生の持つ通信容量は、授業すべてをカバーするには足りないのです。授業だけではありません。とりわけ大学に入ったばかりの新入生は、教員に会うことも、友人を作ることも、部活に参加することも、構内に足を踏み入れることさえできないまま、すでに半年が過ぎています。授
業料、施設利用費を返せという声が多数出ているのも当然です。
図書館が閉まっているため、研究に必要な図書を借りられない大学院生は悲惨です。ネットで調べて論文を書けとでもいうのでしょうか。予約制で貸出や返却の業務を工夫している大学もありますが、十分とはいえません。2020 年度の 1 年間は、学生にとってかけがえのない 1 年間であり、取り返しのつかないもので
す。すべての大学人が学生たちに責任をもって、問題の解決に立ち上がりましょう。

――教職員は疲弊しています。――
オンライン授業に慣れていない教員の負担が大きくなっています。教員は、授業の中身よりも、使い慣れないパソコンのソフトに振りまわされる毎日を送っています。この負担に専任教員も非常勤講師も違いはありませんが、パソコンやその周辺機器の購入は、収入の低い非常勤講師のほうが負担が大きいと言えます。目
に過度な負担がかかるために目の病気を発症したり、体調を崩して退職を余儀なくされたりしている教員も少なくありません。また、職員が行う非日常の業務も増大し、業務の集中した職員は疲弊しています。


――安心して大学を再開するには、全大学人と周辺住民への PCR 検査実施が必要です――
学生から家族に感染するだけでなく、高齢の大学教員への感染も危険です。また、活動の活発な学生達に接する機会の多い、大学周辺に住む皆さんが、大学再開に不安を抱くこともあるでしょう。PCR 検査を徹底して行うこと無しには、安心して大学を再開することは出来ません。
日本のPCR 検査が世界から大きく立ち遅れていることは、誰の目にも明らかです。感染者数が高止まりで横ばいの今こそ、冬の流行に備えて検査数を増大させるべきです。感染のピークを過ぎた時点で検査を充実させ、感染者増加を食い止めているニューヨーク州に学んで、検査数を増やしましょう。


――PCR 検査の学内実施は、すでに始まっています。――
東大、山梨大、京大、長崎大の附属病院は、「大学病院を使った PCR 検査の拡充」を表明しています。さらに、学内での検査を実施、または実施を予定している大学がぞくぞくと現れています。長崎国際大学は、7月から、学生、教職員だけでなく市民にも 1 回 3500 円で検査を実施し、これまでに 450 人を検
査、2 名の陽性を確認しました(赤旗)。京都産業大学は、予算 1500 万円で 10 月に検査センターの設置を決定し、学生と大学関係者に一人 1000 円以内で 1 日約 40 の検査を実施します(赤旗・共同通信)。大阪市立大は、卒業生らの寄付金などで財源を作り、後期授業を前に学生(8000 人)、全教職員(2000人)の抗原検査を 2000 円で行うことを検討しています(共同)。愛知の至学館大学は、全学生院生と教職員 1700 人に、後期授業が始まる 9 月 24 日から PCR 検査を開始します。学生は強制ではなく陽性が出たら改めて保健所の行政検査を行う、学内の医師、検査機器を使い、費用は当面大学が負担する、教育実習や部活動で外部に出ることが多い学生を優先的に検査する、としています(日経・共同通信)。


――冬の第 3 波を阻止するため、PCR 検査の拡充に大学は全力で寄与すべきです――
このコロナ危機に際し、大学が門戸を閉ざして自己防衛するだけで良いはずはありません。学生に対する責任とともに、地域に対する責任を果たすべきです。全国の国立大学の附属病院は、すでにコロナ治療の拠点病院として大きな責任を持ち、大変な負担を背負っていることが報道されています。この冬にはインフルエンザの流行と相まって第 3 波の流行が心配されます。この第 3 波の流行を阻止するとともに、治療の最前線を支え、その負担を軽減するためにも、まずは大学が学生と教職員、周辺地域の住民に PCR 検査を充分に行い、安心して大学を再開し、大学の機能を取り戻していきましょう。

――全大学人が一丸となって「PCR 検査」のための予算を政府に求めましょう――
9 月 15 日の文科省の調査発表(国公私立大学短大 1003 校)によれば、後期授業について 173 校が例年通りの対面授業、824 校が対面授業とオンライン授業の併用と答えました。現在の状況は、おずおずと様子見しながら対面授業を始めているところです。そのやり方は、「安心できる環境」を作り出すことなく、「経済の復興」の掛け声で始まった「go to travel」と同じです。現状では「自分が感染するのも怖いし、同居する祖父母にうつすのも怖いから通学できない」と言う学生を説得することはできません。PCR 検査、抗原検査、抗体検査のやり方は日々改善され、検査数の増大とともに単価は下がっていると報道されています。とは言え、大学だけでその費用を独自に捻出することは、困難だと思われます。そして、アルバイトすらままならない現在の学生に、この費用負担を押し付けることはできません。日本の未来を背負う学生が「安心して学べる環境」を作ることは、政府を初めとした社会全体の責務です。全大学人が一丸となって、政府や自治体にはPCR 検査の全面的な財政的支援を求めましょう。そのためにもまず大学関係者がPCR検査実施の先頭に立とうではありませんか。

呼びかけ人 首都圏大学非常勤講師組合 志田昇
  大学等教職員組合 衣川清子

<資料> PCR検査(抗体検査含む)に対する各大学の取り組み


〔1〕 文科省の方針
①大学の調査能力、文科省が調査 山中教授も提言(朝日新聞デジタル 5 月 13 日)PCRの検査機器は大学の研究室に相当数あり、研究者から「活用すれば国内のPCRの検査能力は大幅に上がる」という指摘が出ていた。
②新型コロナウィルス感染症のPCR検査に協力する大学等への支援について(6 月 12 日文科省通達)
③PCR検査拡充へ大学保有の機器活用 文科省(8 月 13 日NEWSWEBニュース)

〔2〕国公立大学
(1)東京大学
①学部学生、大学院生、教職員の参加希望者に疫学研究の一環として抗体価測定(東大保健センターからの「研究参加のお誘い」)
②東大が抗体検査実施 陽性は 0.6% 都内 500 人で感染状況を調査(毎日新聞 5 月 15 日)検査
③八王子の介護施設東大先端研の児玉名誉教授に八王子市のNPO法人から依頼。無料で検査。先端研では以前から「地域別の感染状況の把握などを目的に、世田谷、新宿区の一部地域などで無症状者のPCR検査を行って」いる。(読売新聞オンライン 9 月 8 日など)
④東大先端研・村上財団・ピースウインズジャパンを発起人とした新型コロナウィルス対策のために行う「PCR検査拡充プロジェクト」に東京PCR衛生検査所がPCR検査をご提供(株式会社ナチュラリ)
「24 時間 365 日の稼働、1 日当たり 4300 件の検査可能能力」、及び、検体採取から原則 24 時間以内、
最短 6 時間での結果回答を可能とする体制を早期に実現できる予定」
(2)京都大学
①新型コロナウィルス感染詳細拡大を受けて――京大病院からの提言――(8 月 6 日発表)
「もし京都府及び京都市がこの対策を実施される場合には、京都大学医学部付属病院はそれに伴うPCR検査に積極的に協力させていただく用意がある」
繁華街で働く人などに対し無症状でも希望者がPCR検査できる体制を整えるべきで、同病院として 1日数百件の検査枠を新たに提供(京都新聞 8 月 7 日)
② 京大病院が京大IPS研究所や京都市と提携して、1 回あたり 2000 人を対象に学校、保育所、公共交通機関、高齢者福祉施設などの職員の抗体検査、PCR検査。2022 年 7 月 31 日までの間に、2~3 か月程度の感覚で複数回の調査を実施。
(3)長崎大学・長崎病院(長崎新聞 8 月 4 日、赤旗日曜版9月6日など)
長崎県、長崎市、県医師会と提携して、長崎大学病院は、現在1日数百件の検査能力。年内に1日100 0件以上に増強する予定。費用は 1000 円以下。ジャパネットたかたの創業者高田明氏から 1 億円の寄付、国や県の扶助金も活用。
(4)山梨大学(日本経済新聞電子版 6 月 23 日など)
山梨大学・島田学長「PCR検査、大学使って拡充を」県からの要請でドライブスルー方式も採用。山梨大学は全国の国立大学が取り組むべきだと訴えている。(5)弘前大医学部
全実習生にPCR検査。実習を希望する医学部の 5 年生と 6 年生にPCR検査を実施。(Web東北 6 月25日)
(6)神戸大
新型コロナ抗体検査で医療従事者 500 人全員陰性(医療ニュース 5 月 27 日)
(7)横浜市立大
新型コロナ回復者の抗体値など追跡する国内初の大規模研究を開始へ(7 月 30 日日経バイオテク)
(8)海上保安学校
全学生と教職員にPCR検査(京都新聞 9 月 17 日)
全学生に帰寮後 2 週間、原則として外出や外泊を禁止。
(9)東京医科歯科大学
医療スタッフの定期的PCR検査を実施。
(10)三重大医学部(中日新聞 8 月 14 日)
三重大で 24 人のクラスター(感染者集団)が発生したため、学生など 216 件を検査。

〔3〕私立大学
(1)京都産業大学(赤旗 9 月 5 日)
検査センターの設置決定(10 月予定) 1 日約 40 の検体を検査する。
予算 1500 万円 一人 1000 円以内 対象は学生や大学関係者
検査担当者は、大学の保健管理センターの医師やこれから雇用する検査員。
(2)長崎国際大学(朝日新聞デジタル 6 月 27 日、赤旗 9 月 5 日など)
7 月から検査開始。 検査対象は学生や教職員だけでなく佐世保市民など。
1回3500円、これまでに450人を検査。2人陽性確認。
(3)大阪市立大学(共同)
「全学生に抗原検査を検討 大阪市立大、後期授業前に」(日経 9 月 7 日)
大阪市立大が 10 月から始まる後期授業を前に、全学生約 8 千人と教職員約 2 千人に対し新型コロナウイルスの抗原検査を検討していることが 7 日、大学への取材で分かった。後期授業では、実験など一部で対面実施を目指している。大学によると、抗原検査は付属病院での実施を想定。検査結果は研究に活用する
こともあり得る。抗原検査で陽性になれば、PCR 検査につなげる。抗原検査の費用は 1 人当たり 2 千円程度とみられ、新型コロナ支援のため、卒業生からの寄付金などでつくった学内の基金を財源にする。大学内の感染拡大防止策を巡っては、京都産業大(京都市)が、学内に PCR 検査センターを 10 月に設置すると発
表している。〔共同〕
(4)愛知至学館大学(日経・共同)
「全学生と職員にPCR 検査 愛知・至学館大 1700 人」 (日経新聞 9 月 9 日)
至学館大(愛知県大府市)は 9 日、新型コロナウイルス感染対策として、全ての学生や大学院生、職員計約1700 人を対象に学内で PCR 検査を定期的に受けられるようにすると明らかにした。後期授業が始まる24 日から始める予定。学生に強制はせず、陽性が出た場合は保健所が行う行政での検査をあらためて受けてもらう。大学によると、検査は学内の医師や検査機器を使って実施。費用は当面大学が負担する。教育実習や部活動で外部に出ることの多い学生を優先的に検査することで「ウイルスを学内に持ち込まない、学外に持ち出さないようにしたい」(大学担当者)。同大学はアテネ、北京、ロンドンの五輪で 3 連覇を達成した吉田沙保里さんらを輩出したレスリング女子の強豪で、他のスポーツも盛ん。大学内の感染拡大防止策では、京都産業大(京都市)が学内にPCR 検査センターを設置すると発表したほか、大阪市立大
(大阪市)も学生や教職員が対象の抗原検査の実施を検討している。〔共同〕
(5)東京女子医大(BuzzFeed JAPAN5 月 16 日)
5 月 16 日、17 日に学生全員にPCR検査
(6)松本歯科大(5月31日朝日新聞デジタル)
教職員や学生、医療従事者ら 1146 人を対象に新型コロナウィルスの抗体検査実施、全員陰性。10分で結果が得られる検査キットを使用した。
(7)熊本保健科学大学(9 月 10 日大学のお知らせ)
学外実習への派遣学生および引率教員を対象に検査。今後、他の学生や教職員全員にPCR検査を拡大。
(8)北海道医療大(7 月 8 日北海道新聞)
「ススキノの従業員を抗体検査へ 道医療大 協力店を募集 100 人規模を想定」
無症候性感染者を早期に発見することによって、クラスターを早期に収束させることができる。(先端研究推進センター長 小林正伸)
(9)金城大(中日新聞 8 月 25 日)
病院実習前にPCR検査、全費用大学負担。
学外での病院実習を対象に医療健康、看護学部の学生 169 人。
(10)昭和大(昭和大学プレス 6 月 9 日)
5月 22 日から学内PCRセンターが稼働。最大で 1 日当たり 110 人分検査に対応
臨床実習開始を控える各学部学生の検査にも対応。

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